第40章

沈村蓮の指が、キーボードの上でふっと止まった。

反射的に自分の両手を見下ろし、しばらく黙ってから返す。

「もう書かない」

送信してすぐ、沈村蓮はスマホを伏せ、二度と画面を見なかった。

机の上に置いてあった、外装が古めかしくどこか妖しい雰囲気をまとった本を手に立ち上がる。書斎へ戻り、ぎっしり詰まった本棚へそれを差し込むと、似たような古書をもう一冊抜き取って、続きを読むつもりだった。

けれど。

部屋を出ようとした瞬間、壁際のガラクタの山に紛れている「それ」が視界に入り、足が止まる。結局、沈村蓮はそちらへ歩み寄り、手に取った。

――ヴァイオリンケース。

長いこと開けていなかったせい...

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