第44章

料理はすぐに運び込まれ、卓上が埋まる頃、個室にはまたしても妙な光景が生まれていた。

沈村蓮は黙々と箸を進めるだけ。村岡俊世は何とか沈村蓮に話しかけようとするのだが、口を開いた途端に、正気に戻そうと必死なマネージャー補佐と、ファンのフィルター全開で「サインとツーショ……でも言い出せない……」と挙動不審な浅川月に、ことごとく遮られてしまう。

見かねた沈村蓮が、ようやく口を挟んだ。

「浅川月が、あなたのサイン入りアルバムを欲しがってる」

村岡俊世は即答だった。

「ある! 帰ったらフルセット用意する。直筆サインも、宛名入りも!」

未来の担当マネージャーかもしれない相手だ。断る理由など一つ...

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