第63章

沈村蓮は遠坂遥の代わりに救急へ電話を入れ、民宿の場所と遠坂遥の容体をきちんと伝えると、そのまま宿を出た。

――ところが。

藤原洋介が、まるで影みたいに付いてくる。

外の車の前で、沈村蓮は振り返った。言おうとした瞬間、藤原洋介のほうが先に口を開く。

「わかってるだろ。君を一人で行かせるわけない」

沈村蓮は眉をひそめる。

「……本当に、術士じゃないの?」

藤原洋介は軽く手を上げた。指先の傷は驚くほど早く塞がり、もう血の跡すら見えない。

「違う。ただ、うちに年上で少し心得のある人がいてね。俺も護身程度には齧ってる。心配しなくていい」

「誰が心配なんか……」

沈村蓮はしばらく考え...

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