第66章

夕方が近づいた頃、沈村蓮は、ようやく古城から戻ってきた田山監督と顔を合わせた。

田山監督は沈村蓮と藤原洋介に慌ただしく挨拶を済ませると、残っていたスタッフを手早く帰し、自分も戻る支度を整えた。歩きながら電話を耳に当て、トレンド絡みの火消し対応に追われている。

沈村蓮もこれ以上ここに用はない。浅川月と一緒に引き上げることにしたが、今回は道中に藤原洋介も加わった。

浅川月は、田山監督が藤原洋介に対して妙に丁寧な態度を取っているのを見ていた。しかも藤原洋介のほうも沈村蓮に対して、距離感を間違えない程度に気を配り、礼儀も崩さない。さっきまで抱いていた小さな不満など、いつの間にかどこかへ消えてし...

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