第74章

このまま言い合いが続きそうなのを見て、沈村蓮は無表情のまま車を降りた。

「……もういい」

浅川月と村岡俊世はぴたりと口をつぐみ、揃って沈村蓮をおとなしく見上げる。

沈村蓮が何か言おうとした、そのとき。

周囲が妙に静まり返っていることに気づき、ふと視線を上げた。

そして――

「……」

田山監督をはじめ、番組スタッフ一同が、目を丸くしてこちらを見ていた。まるで幽霊でも見たみたいな顔だ。

迎えに出てきていた斉村哲也はその場で固まり、松村林也も目を見開いたまま動かない。

地村氷と葉山詩音は信じられないといった表情で見つめ、さっきまで座っていた鈴原明志に至っては、がばっと立ち上がって...

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