第84章

山崎三助は、その言葉に思わず固まった。

沈村蓮が言う「師匠」とは、特調局の前局長・地村文雄のことだ。だが地村は五年前に殉職している。

山崎が沈村蓮と知り合った頃には、地村局長はすでにこの世にいなかった。だから彼のことは噂で聞いた程度で、実際に会ったことはない。

それでも山崎は知っていた。沈村蓮にとって地村局長の存在がどれほど大きかったかを。

「地村局長がいなかったら、私は六年前にとっくに死んでた。今の私は、あの人が生かしたものだ」

彼女はそう言っていた。

それに、沈村蓮がぽつりと漏らした話も覚えている。地村局長は腕の立つ術士で、当時沈村蓮を庇って負った傷が病として残らなければ、局...

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