第89章

方村閣は、沈村蓮が差し出した沈香を手に取り、じっくりと確かめた。間違いない。これは浮世にしか作れない沈香だ。

それで沈村蓮を見上げた瞬間、完全に固まる。

「あなた……あなたが、本当に浮世なんですか?!」

沈村蓮は訳がわからないという顔で言った。

「さっき電話で確認したでしょ。目が悪いの? それとも耳が悪いの?」

この手のやり取りに時間を使いたくないから、入る前にわざわざ電話までしたのに。

「い、いえっ!」方村閣は慌てて首を振った。「ただ……その……まさか……浮世が……沈村蓮さんだなんて。最近ネットで話題の女優、沈村蓮。T市大学の上級研究員で、しかも前から有名な鬼才アレンジャーmo...

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