第92章

電話の向こうで浅川月が固まった。しばらくして、ようやく声を取り戻す。

「え……じゃあ、あんたが葉山家の本当のお嬢様ってこと? 葉山詩音は偽物……?!」

沈村蓮は目の前の描き終えた符をまとめ、短く「うん」と返した。

「じゃあさ、星崎のあのエースマネージャー、葉山和也。ずっと『葉山詩音の実の兄』って噂されてて、ファンも名門兄妹のカップリングとか言って騒いでたけど……本当は、葉山和也ってあんたの兄なの? それに鈴原明志が『葉山家のお嬢様の婚約者』とか言ってたのも、実際はあんたの婚約者ってこと?!」浅川月が畳みかける。

沈村蓮は肩をすくめる。

「情けないけど……そういうこと」

浅川月の声...

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