第15章 引き延ばすことは双方にとって利益にならない

この二ヶ月の療養期間は本当に寂しかった。森川琴子がときどき話し相手に来てくれる以外、誰一人私のことを気にかけてはくれなかった。

この結婚で受けた心の傷があまりにも深く、思い出すたびに吐き気を催すほどの嫌悪感を覚える。

渡辺光からの電話は着信を無視し続けた。今では彼の名前を見るだけで胸が悪くなる。

彼が私にしたことを思い出したくもない。思い出すたびに胸が刺されるような痛みを感じる。これは自分を傷つけ、そして作り直していく過程なのだ。

私と連絡が取れなくなった彼は、ついに直接家まで来た。

ドアを開けて彼だと分かった瞬間、私は何も言わずにドアを閉めようとした。が、彼が手でドアを押さえつけ...

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