第16章 未来の妻

「どのイケメンに目をつけたの?」森川琴子は私の視線の先を察したのか、急に近寄ってきた。

「あの日、総合病院まで送ってくれた人を見かけたみたい」私は少し落ち着かない様子で小声で答えた。

「どの人?」森川琴子は興味を示し、私の視線の先を追った。「白いシャツを着て、かっこよくて、今タバコを吸ってる人のこと?」

藤原大輔は端正な顔立ちだけでなく、人を惹きつける独特な雰囲気を持っていた。森川琴子が群衆の中から彼を見つけ出せたのも当然だった。

私が頷くか頷かないかのうちに、森川琴子は私の手を引いてその方向に突っ込んでいった。

「琴子、やめて」必死に彼女を引き止めようとした。

藤原大輔にお礼を...

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