第46章

「ああ……」鋭い悲鳴が耳を刺した。

そのヒモ男は一気に森川琴子を突き飛ばした。

「誰だよ?ケンカ売ってんのか?」

森川琴子は彼の力に合わせて二歩下がったが、すぐに喧嘩を始める様子はなく、手にしたグラスを弄びながら、継母を睨みつけていた。

「おばさん、なんて偶然!」

継母はすぐに森川琴子だと気づき、その表情の変化は見事なものだった。怒りから驚愕へ、そして一気に恥ずかしさへと変わっていった。

そのヒモ男は目を見開いて「おい、今なんて呼んだ?」

森川琴子が事を大きくしないよう、私は急いで彼女を引き止めようとした。でも森川琴子は頑固で、私の手を振り払い、ヒモ男を上から下まで眺めた。

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