第4章

美奈子視点

背後で警備員たちがナイフを持った男を取り押さえている。悲鳴が上がり、人々が四方八方に逃げ惑う。完全なカオスだ。大志はまだ美香に怪我がないか確かめていた。その手は彼女の腕や顔を何度も撫で、彼女が無事であることを執拗なまでに確認している。

ぷつりと、足から力が抜けた。床が迫ってくるのと同時に、私は天井の巨大なシャンデリアをまっすぐに見上げていた。視界の中で、それがゆらゆらと揺れ、ぼやけていく。大量の血。自分の下で血だまりが広がっていくのがわかる。生暖かく、べたついていた。

「誰か救急車を!」どこかの女性が叫んでいた。パニックで甲高い声になっている。「ひどい出血を!」

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