第7章
西湖のほとりに佇む古刹は、参列者で埋め尽くされていた。白菊と蓮の花が手向けられた檜造りの本堂には、飯島県の名士たちが私のために集まっていた。
石油王、牧場主、IT起業家――私が長年にわたって信頼関係を築き上げてきたクライアントたちだ。彼らが今日ここにいるのは高橋真一のためではなく、私のためだった。
私は本堂の上空に浮かび、最前列の席でそわそわと身じろぎする高橋真一の姿を見下ろしていた。彼の隣には、場違いなほど高価なスーツに身を包んだ小嶋美咲が座っている。
「どうも腑に落ちませんわ」田中夫人が、隣の夫に囁いた。「理紗さんには、つい先週、西湖の豪邸探しをお願いしていたばかりなのに」
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章


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