私たちが誰であるかを思い出させてください。

トミーは両手の汚れを払い落とし、エリオットの隣にしゃがみ込んだ。荒っぽい戦いに慣れた大柄なベータだが、その顔には不思議と、部屋の空気をこれ以上重くさせないような笑みが浮かんでいる。

「よし、小さな暴れん坊」からかい混じりの言葉の下に、優しい響きがあった。「さっきのお前の行動だが……勇敢で、冷静で、素早かったぞ。取り乱すことなく、仲間を守り抜いた。それこそが『群れ』だ」

エリオットは恥ずかしそうに顎を引いた。「僕はただ……誰も傷ついてほしくなかっただけで……」

「それが大事なんだ」トミーはエリオットの胸骨を指二本で軽く叩いた。「いつだって、まずは心が大事だ。もしその気があるなら、俺のジュニ...

ログインして続きを読む