一生の子犬。

ザビエル

レイヤが最初に足を緩めた。湿った苔に足が沈み、冥界の冷気でその吐息が白く煙る。彼女の姿をはっきりと捉えた瞬間、俺の胸が締め付けられた。その体はふっくらとしていて、獣の姿であっても腹の膨らみは明らかで、俺たちの子を宿していることが見て取れる。俺の中のマドックスが激しく蠢く。威嚇ではなく、飢えによって剥き出しにされた牙。原始的で、向こう見ずな衝動だ。生命を宿し、膨らんだ俺たちの番(つがい)。影の中でも輝くその姿ほど、奴を狂わせるものはない。だが、俺たちは慎重だ。いつだってな。

マドックスが忍び寄り、彼女の周りを回る。喉の奥から遊び心のある唸り声が漏れるが、それは柔らかく、抑え...

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