パックハウスエンバーライト。

ザイオンの部屋を無言で後にする。誰も口を開かない。パックハウスの敷居をまたぎ、トラーリスの屋敷の廊下よりも影そのものが安全だと感じられる森の奥深くへと足を踏み入れるまでは、沈黙が続いた。

「まさか、あいつらの言葉を信じようってわけじゃないだろうな」ノアがようやく口を開く。その声は低く、怒りに満ちていた。

「私の毛布を持っていたの」私は両手の指を強く握りしめながら呟いた。「ザイオンが、持っていた」

「だからといって……」ゼイビアが言いかけるが、私が視線を向けると口をつぐんだ。

「私だって信じたくない。全部嘘であってほしい。でも、現実は違う」

リヴァイが私の背中にそっと、だが力強く手を置...

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