第百五十章

【イワン視点】

やがて全員が目を覚まし、キッチンに姿を現し始めた。昨日は誰も食事をとっていなかったから、つまり、ありつける時には普段の倍は食うってことだ。セフィが階下に降りてきて、いつものように救世主となってくれた。彼女は、空腹だと機嫌がすこぶる悪くなるから「ヴィニーズ」の料理を持ってくるようにと、護衛の一人に伝言させたのだ。普段は彼女と接点のない外の警備兵たちでさえ、彼女の癇癪(かんしゃく)については噂で聞いていた。俺たち全員が、どこかの時点で彼女に完膚なきまでに叩きのめされた経験があることを、彼らは知っていたからだ。

数ヶ月前、警備兵の何人かは彼女が俺たちとスパーリングしているのを見て...

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