第百六十四章

セフィ

怒りに心を支配されそうになるたび、私はそれをコントロールしようと努めてきた。ヴィクトルとアンドレイは、怒りを逆に武器として利用できると教えてくれたけれど、それにはまず制御できなければならない。視界が真っ赤に染まる代わりに、目の前の相手――この場合はミーシャ――に集中しようと意識を研ぎ澄ませる。ミーシャもアンドレイも、組み手の最中に私を怒らせるのを楽しんでいた。怒っている時のほうが、相手として手ごたえがあると言うのだ。私としても、感情を制御する良い練習になるので構わなかった。

ヴィクトルたちが言っていた意味が、少しずつ分かり始めていた。彼らに煽られて怒りの頂点に達した時、不思議と自分...

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