第二百四十三章

セフィ

「他の誰にもできなかったことだ」とアドリックは答えた。

彼女は息を吸い込み、少し考えてから言葉を返した。「セフィ、あなたは彼の怒りを制御する手助けをする存在ですが、それを自分自身に取り込んでしまってはいけません。冷えが強まっているのは、あなたが彼の『火』を取り込みすぎているという身体からのサインなのです。言わば、身体がバランスを取り戻そうとしているのですよ」彼女はそこでアドリックに視線を移した。「あなたは彼女の『火』となるべき存在ですが、同時に、必要な時には彼女にその炎を鎮めさせることも許さなければなりません。自身の火と戦えば戦うほど、その業火は大きくなってしまう。彼女はあ...

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