第二百五十六章

セフィ

二人きりになると、私はアドリックの手を掴んで寝室へと引っ張っていった。彼は疲れ切っていた。見た目も、雰囲気も、触れた感じさえも、すべてが疲労を物語っている。私はバスタブにお湯を張り始めた。

「貴方がお風呂に浸かるのは私が怪我をした時だけだって知ってるけど、今夜は例外にしてほしいの」

彼は私を強く引き寄せた。「君が一緒に入ってくれるなら、喜んでそうしよう」

「どちらかが寝落ちしてお湯に溺れないように、見張ってなきゃいけないしね」

お湯が溜まると、私は彼に入るよう促した。さらに、私が後ろから彼を抱きしめる体勢――いわゆる「ビッグ・スプーン」の側になるよう説得することにも成...

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