第二百七十一章

アドリック

背後でセフィが静かにくすりと笑うのが聞こえた。彼が口を開いたことで、彼女の緊張が解けたのが伝わってくる。アンドレイが質問に答えるために声を上げた。

「爆弾だ。小さいほうの倉庫二つは侵入が容易だ。そっちはお前たちがやってくれ。波止場の倉庫はサルの手下で溢れかえっている。爆薬を仕掛けるために接近するのは至難の業だから、俺たちが受け持つ」

オスカーはアンドレイを見やった。

「一斉にドカンとやれるぜ。小さい倉庫に爆薬を仕掛けたあと、波止場の援護に回ることも可能だ。サルの部下がどれだけ波止場にいるか、俺はこの目で見てきたからな。あそこは大仕事になる。人手が必要なはずだ」

「遠...

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