第二百八十七章

セフィ

匂いでここが病院だとわかった。あの独特の匂いは、他の場所にはないものだ。意識が出たり入ったりする中で、話し声が聞こえた。彼らが一緒にいてくれるのがわかる。私の手を握るアドリックの手を感じた。イヴァンが何が起きたのかを説明しているのが聞こえる。あの部屋にいた時の出来事をイヴァンが話すたび、私の体が反応してしまう。アドリックが私に話しかけ、落ち着かせようとしてくれたが、効果はなかった。震えはひどくなる一方だ。感覚はあるのに、自分の体を制御できないもどかしさを感じる。脳と体のつながりが切れてしまったようだ。動こうとしても、体がいうことを聞かなかった。

アンドレイの平均より温かい手...

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