第二百九十八章

アドリック

「そりゃまた、随分と痛そうに聞こえたな」

スペアルームから戻ってきた俺たちに、アンドレイが声をかけた。

「ほんの一瞬よ。それに、今は肩と肋骨の状態が酷いからってだけ」セフィは静かに答えた。「刺されるよりはマシだし」

彼女はアンドレイににやりと笑いかけ、付け加えた。「……たぶんね。実際のところどうなのか、確かめようがなくてよかったわ」

アンドレイは立ち上がり、彼女がさっきまで使っていた毛布を掴むと、再び彼女の体に巻きつけた。「もう腹減ったか? アレから少なくとも二十分は経ってるぞ」と、彼はからかうように尋ねる。

「まだよ。でも、あと十分したらもう一回聞いて」彼女は...

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