第三百七章

アドリック

「マックスは、お前らが命の恩人だって気づいたのか?」俺は尋ねた。

「いや、奴は俺たちを見てない。背後で男が倒れる音を聞いて、振り返ったら銃を握ったまま死んでる男がいたってだけだ。その時、奴はビビって小便漏らしそうだったぜ。言っとくが、あいつが長生きできるとは到底思えねえな。生存本能がクソだ。車に走って逃げるまで、駐車場で五分くらい立ち尽くしてやがった」スティーブンが言った。「一生そこから動かないんじゃないかと思ったくらいだ」

「いかにもあいつらしいな」俺は言った。セフィが俺を見てニヤリと笑う。今夜の一件がある前から、俺があいつを馬鹿だと思っていることを彼女は知っていた...

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