第三百二十一章

アドリック視点

「警察がリカルドを長期間ブタ箱にぶち込むのに十分な証拠は揃ってる。だが、市長がリカルドに買収されているとしたら、起訴までは持っていけないだろうな。今はその回避策を探ってる最中だ。政治家が犯罪に厳しい姿勢を見せるのは、市民へのいいアピールになる。『ブラウン』を作った医者、そして今度はリカルド。俺たちは奴らのために、綺麗にラッピングして差し出してやったわけだ。ただ、この市長がそのどちらかに手をつける気があるのか、まだ確信が持てない」俺は言った。

「『ブラウン』を作った男を捕まえたのか?」トリーノが驚いたように尋ねた。「計画を阻止したのは知っていたが、そもそもの元凶である...

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