第三百二十七章

アドリック

二日後、トリーノがこのビルに立ち寄った。コロンビアへ発つ前に、別れの挨拶がしたいとのことだった。奴の部下たちはまたしてもロビーに待機しており、そのせいで皆が少しばかりピリついていた。

「ミハ、会うたびに顔色が良くなっているな」

トリーノはそう言いながら歩み寄り、彼女をハグした。

「次に会うときは、両腕が使えるようになっているかもしれないわね」と彼女は言った。

「すべてが終わったら、あんたとボスはコロンビアに来なきゃ駄目だ。コロンビアに行ったことは?」

彼女が首を横に振って否定する。

「そうか、なら絶対に来いよ。俺が案内してやる。美しい国だぞ、ミハ。きっと気に入るはず...

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