第三百四十二章

アドリック視点

ポケットから携帯を取り出した。セフィの肩に顎を乗せ、彼女の体に腕を回したまま、電話ではなくメールを打つ。彼女は首を伸ばして俺を見上げ、なぜ電話をかけないのかと目で問いかけてきた。

「あいつには一人になれる場所が必要なんだ。誰にも聞かれない場所がな。このメールを見れば、使い捨ての携帯からかけ直してくるはずだ」

そう言うと、彼女は手を伸ばして俺の頬に触れ、もう片方の手を俺の腕に重ねた。

離れるのが怖いと彼女に打ち明けられてから、俺たちの距離はさらに縮まった気がする。ここ数ヶ月、俺は彼女に溺れていたが、今はそれが新たな次元に達している。彼女もまた、俺を求めてやまないの...

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