357

アドリック

深夜、ふと目が覚めた。セフィが俺の胸の上で横たわっている。ようやく眠りにつく前、彼女は俺を疲れさせようと最善を尽くしてくれたのだが、俺の脳はどうしても動きを止めてくれなかったようだ。父がセフィに対してあんなにも違った態度を見せたことに、なぜこれほど驚いているのか自分でもわからない。あんな父の姿は今まで見たことがなかった。それは、喜ばしい変化だった。

父はずっと冷徹な人間だった。不自由なく暮らせるよう全てを与えてはくれたが、俺たちの間に温もりなど存在しなかった。成長するにつれ、俺は気づいてしまった。父にとって俺は、亡き母を思い出させる存在なのだと。俺を見るたびに母を失った事実を突...

ログインして続きを読む