第三十六章

セフィ

後片付けを済ませ、包帯などの手当て用品をカウンターに置いた。皆いつの間にか姿を消していて、どこへ行ったのか見当もつかない。私はふらりと階段を上がり、アドリックのオフィスへと向かった。部屋に入ったとき、私は両手をポケットに突っ込み、下唇を噛みしめていた。完全に考え事に没頭していたのだ。イヴァンのこと、アンドレイやトリのこと、そしてこの三日間に起きたすべてのことについて。

「大丈夫か?」アドリックが机の方から声をかけてきた。

彼の姿を見た瞬間、私は現実に引き戻された。私は彼に温かい笑顔を向け、その姿を目に焼き付けた。彼はまたシャツを脱ぎ捨てていて、ジーンズ一本の姿で机に座り、...

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