第四十九章

アドリック視点

ニコとの会合があるため、俺はいつもよりずっと早く、渋々家を出た。アンソニーとの一件が収拾のつかない事態に陥るのではないかと、俺の神経は張り詰めていた。奴が他のボスたちと接触し、俺に反旗を翻すよう画策しているという話を聞く限り、事態はすでにそこまで悪化しているのではないかという懸念があった。一刻も早くこの問題を片付けたくてたまらなかった。

ペントハウスへと向かう空路の最中、俺は昨夜の出来事を脳裏で反芻していた。セフィが俺を見つめるあの眼差し――そこには溢れんばかりの渇望と情熱が宿っていた。あんな風に女性に見つめられたことなど、これまで一度もなかった。出会って間もないなら尚更だ...

ログインして続きを読む