第五十三章

セフィ

私たちはペントハウスの直下にある二つのフロアを見て回った。ここにも当然のように、本格的なジムが完備されていた。ジムの中を歩きながら、私は尋ねた。

「ねえ、ここにはバスケットコートはないの?」

彼は笑った。

「ここにはないよ。屋敷の方だけだ」

「どうやって生きてるのよ。マジで。屋敷に連れて帰って。こんな過酷な環境じゃ暮らせないわ」

真顔で言い切るのは大変だったけれど、なんとか耐えた。彼は振り返り、私が本気で言っているのかと心配そうな顔をした。その不安げな表情があまりにおかしくて、私は吹き出してしまった。

彼は私を軽く小突いた。

「驚かせないでくれよ!」

一通りのツアーが...

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