第六十五章

アドリック

イヴァンに安眠や食欲増進に効くツボを教えてもらったおかげで、セフィは少しだけ食事をとることができた。これでまた薬を飲まなくても、いくらか眠れるようになればいいのだが。

あの襲撃以来、彼女のことが心配でたまらない。セフィは気丈な女性だが、まだ完全に本調子とは言えない状態だ。彼女が少しでも苦しむ姿を見るのは耐え難い。もちろん、一緒にいると楽しいし、彼女はいつも周りへの気遣いを忘れない。だが、今の彼女がそう振る舞うために無理をしていることは、誰の目にも明らかだった。普段なら自然とできることなのに、今は必死に取り繕っているのだ。

少なくとも今は、彼女を少しでも楽にしてやれる方法がある...

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