第15章

篠原菫子は完全に呆然としていた「あ……あなた、何を言ってるの?」

彼女はいつもなら冷静沈着で、何事にも他人事のような態度を取るのだが、それでも藤原和也のこの一言には大きく動揺していた。

「女!もう十分時間を無駄にしたぞ!」藤原和也は篠原菫子に何の説明もせず、ただ強引に彼女の腕を引っ張って、レストランの奥へと進んでいった。

後ろでは、最初に驚いて呆然としたのは、工事現場から篠原菫子をここまで車で送り、つい先ほどまで彼女の男性同伴を務めていた高橋亮太だった。高橋亮太は額に手を当てながら、もう一方の手で携帯電話を探り出し、震える手で番号を押して発信した。

すぐに電話の向こう側につながった。...

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