第35章

林田月は丸椅子に腰かけ、藤原和也を見つめる目には憧れの色が浮かんでいた。藤原和也は片腕をソファの肘掛けに乗せ、長い脚を組み、時折明滅する葉巻を手に持つ姿は、冷たく無情な印象を与えていた。

二人の間のテーブルには、いくつかの精巧な小さなスイーツが並べられていた。

大福、団子、プリン、シュークリーム。どれも小さく、一口で食べられるサイズだ。

しかし、どれも一つ千円もする。

特にプリンは林田月のお気に入りだった。

篠原菫子はこれらの可愛らしい小さなスイーツを食べたことはなかったが、見て知っていた。

以前、林田家に居候していた頃、林田月がよく食べているのを見ていた。

林田月は幼い頃から...

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