第37章

高橋亮太の車には、もう一人の男が座っていた。

篠原菫子は首を振った「ありがとう高橋さん、バスで帰れますから」

「何もしないから怖くな!こいつは俺の親友の鈴木光司だ!乗れよ!」高橋亮太の口調はまったく相談するような調子ではなく、命令口調だった「わかってるよ、お前今日一日の仕事量はかなりハードだったろ。新入社員なんて、みんなこういう経験するもんだ。そのうち楽になるさ。ほら乗れよ、この俺様が送ってやるんだから!」

篠原菫子は唇を噛んで、車に乗り込んだ。

鈴木光司と呼ばれた男性は礼儀正しく、穏やかな雰囲気で、篠原菫子に対しては特に敬意を示していた「藤原の若奥様、お噂はかねがね」

篠原菫子は...

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