第40章

篠原菫子は榎本美咲のことは認識できなかったが、佐藤翔太のことは覚えていた。

「すみません、通してください」篠原菫子は丁寧に言った。

佐藤翔太と榎本美咲の二人が彼女の通り道を塞いでいたので、彼女は体を少し横に傾けて通り過ぎ、カウンターに向かって言った「申し訳ありません、中島さんから二、三回お電話をいただいて、私は...今日カメラの...お金を返しに来たんです」

受付の女性はすぐに尋ねた「お嬢さん、お名前は?」

「篠原と申します。篠原菫子です。四日前にこちらで三万円のデジタルカメラをレンタルしました。今日はデジタルカメラの...お金を返しに来たんです」篠原菫子は再び言った。

「篠原さん...

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