第44章

「私が誰かなんてどうでもいい。大事なのは――お前のような女に、私の孫へ近づくことは絶対に許さん!」佐藤お爺さんは、篠原菫子を頭の先から足の先まで、じろりと値踏みするように見据えた。

蝋のように黄ばんだ肌、全身に漂う疲弊の色と場末の匂い。濃い化粧でも覆いきれない卑しさがそこにあり、厚く塗り重ねたファンデーションは、篠原菫子が口を開くたびに、ぽろりと粉の塊となって落ちる。

そして視線は、その身にまとった服へ。まるで裏路地に立つ売り女と寸分違わぬ装いだった。

こんな女が、よりによって佐藤家の男を誘惑しようなどと。

「あら、佐藤お爺さま、こんなところでばったり。どうしてここにいらしたんですか?...

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