第15章 彼女は横尾孝人さえも要らなくなった

南雲玲奈は腹を括ると、すぐに書斎へ向かった。離婚協議書をプリントアウトするつもりだったのだ。

――ところが。

扉を開けようとしても、ドアノブが回らない。

「……え?」

どういうこと。

書斎、鍵がかかってる?

南雲玲奈はわずかに目を見開いた。

ここはもともと横尾孝人が使っている場所で、普段は掃除係の下山さん以外、勝手に入ってはいけない空気がある。

けれど彼女が会社にいた頃は、急ぎの書類や研究開発のデータを提出する必要が出たとき、プリンターを借りにここへ来ることもあった。そのときは開放されていたはずだ。

睫毛を伏せ、考える。

鍵をかけたのは孝人の意図なのか。それとも下山さんが...

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