第186章 酔っ払ったら、お前を拾いに行くよ

南雲玲奈が一つひとつ手順を教えると、香澄は素直にその通りにやってみせた。ふわふわと愛らしく、しかも言いつけをちゃんと守る。その様子に、森下有希子の表情が優しく緩んでいく。

森下有希子は生涯独身で、人生のすべてを仕事に捧げてきた。

自分に子どもができることなど、この先もない――そう思っていたのに、人生の終わりが近づいてから、こんなに可愛い弟子を授かるなんて。嬉しくないはずがない。

「香澄が弟子入りしたんだもの。師匠の私も、ちゃんと形にしないとね」

そう言うなり、森下はコレクションルームへ入っていった。戻ってきた手には、小ぶりで艶のあるヴァイオリン。

香澄の前に差し出して、にこりと笑う...

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