第28章 彼についての消息を知る

横尾孝人と江口里奈の件が尾を引いているのか、その朝の香澄はずっと気分が沈んだままだった。

南雲玲奈は見ていて胸が痛み、娘を抱きしめて何度もあやした。ようやく機嫌が戻ったのは、昼近くになってからだった。

昼食を終えたころ、藤井一輝から電話が入る。

「時間あるか? 一度、病院に来てくれ。今日は重要な患者さんがいて、君の力を借りたい」

「分かりました」

南雲玲奈に異存はない。

今の彼女は、仕事に対して以前にも増して前向きだった。もうすぐ離婚する。自分と香澄のために、稼げるうちに稼いでおかなければならない。

香澄を使用人に任せると、玲奈はすぐ家を出た。

病院に着き、白衣に着替えたとこ...

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