第33章 横尾孝人を治療したくない

夕方になるころには、香澄も遊び疲れたのか、見るからに元気がなくなっていた。そこで南雲玲奈は、予定より早めに遊園地を切り上げることにした。

家に戻ると、思いがけず横尾孝人がもう帰っていた。

男はソファに脚を組んで座り、ノートパソコンのキーを叩いているところだった。

視線は画面に釘付け。白いシャツの袖は肘まできっちり捲られ、いかにも仕事のできる男――そんな空気をまとっている。

出かけていないの。

初恋の女と、その連れ子に付きっきりじゃなかったのか。

それは少し意外だった。

けれど玲奈に、声をかけるつもりはなかった。

昼間にあれだけ気まずい思いをしたばかりだ。今さら彼と話したいとも...

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