第53章

平原綾香はアパートに戻ると、三人の子どもたちの荷造りを始めた。

「どうしたの? みんなして、そんな苦い顔して」

隣にちょこんと並ぶ三つの小さな影を見て、綾香は笑って問いかける。

真っ先に堪えきれなくなったのは平原雪子だった。小さな口をへの字に曲げた途端、目の縁が赤くなる。

「お母さん……行きたくない……」

「そうだよそうだよ! ぼくも!」と平原秋友がすぐに続く。

その声に、綾香の胸はふにゃりと溶けた。

綾香は手を伸ばし、三人まとめてぎゅっと抱き寄せる。

「ばかね。これで二度と会えないわけじゃないのよ」

囁くように言って、子どもたちの背中を優しく撫でた。

「あなたたちは、ま...

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