第59章

平原綾香は二人の男に挟まれたまま、頭の奥がじんと痛むのを感じていた。

「……私のために動いてくれて、ありがとう」

一度息を整えてから、綾香は言った。

「でも、あとは私が片をつける」

松村礼嗣がわずかに眉を寄せ、何か言いかける。

上村圭が一歩踏み出し、焦りを押し殺した声で続けた。

「綾香。今は意地張ってる場合じゃない。平原寧々は平気で何でもやる。君一人じゃ――」

「大丈夫。信じて」

綾香の声はぶれなかった。

松村礼嗣と上村圭が視線を交わし、結局どちらも言葉を飲み込む。

綾香は唇の端をほんの少しだけ上げた。

「だから、お二人は帰って。ここは私が処理する」

上村圭は松村礼嗣...

ログインして続きを読む