第60章

平原寧々は思った。平原綾香のあの設計図は、そこらの工場じゃ到底かたちにできない。

綾香本人だって作れないかもしれない。それでも、この件で彼女を叩き落とす材料にはならないのが腹立たしかった。

寧々が欲しいのは、皆の前で証明することだ。自分のほうが、平原綾香よりずっと優秀だと。

車内。膝の上の設計図の束を睨みつける寧々の目が、じわじわと陰っていく。

――そのとき、ふいに背筋が伸びた。

作れないなら、作れるように変えればいい。

「こんな段差、こんな角度……どこの工場がやれるっていうのよ」

ぼそりと呟き、バッグからペンを引き抜く。迷いはなかった。図面の上へ、容赦なく線を引く。

花びら...

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