第7章

松村礼嗣の車が、西郊の廃工場地帯の外で急停止した。

「手分けして探せ。何かあればすぐ連絡しろ」

助手に向けた声は、氷みたいに冷たい。

――なぜ自分がここにいるのか、わからない。

商売の世界で揉まれてきた。女の手口なら、腐るほど見てきた。

近づきたい女も、注目を浴びたい女も、数え切れない。どれも鼻で笑って終わりだったはずだ。

なのに、平原綾香だけは違う。

あんな滅茶苦茶なやり方で、こちらの胸をざわつかせる。

松村礼嗣は単独で足跡を追った。泥地に乱れたタイヤ痕。視線が沈む。

痕跡を辿って、最も大きい赤煉瓦の建屋へ。

扉は半開き。中は薄暗い。

足音を殺して身を滑り込ませ、積み...

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