第9章

誘拐の悪夢がまだ薄れないまま、平原綾香は三人の子どもを連れて、また病院へ向かった。

前回の反省を踏まえ、今回は上村が手配したボディガードが、少し離れた場所から付き添っている。

綾香たち四人は足音を殺し、平原小春の病室へそっと入った。

ベッドの小さな女の子は相変わらず眠ったまま。ただ、その顔色は数日前よりさらに青白い。いくつもの医療機器が取り囲み、部屋全体が冷たい金属の世界みたいで、体温の気配がどこにもない。

「小春……」

平原雪子が小さく呼びかけた途端、目元が赤く滲んだ。

平原光と平原秋友も唇をきゅっと結ぶ。普段なら落ち着きのない二人が、まるで別人みたいに静かだった。

綾香はベ...

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