第18章

外から、ドアの閉まる音がした。

部屋の中で、とうに目を覚ましていた乙村彩羽は、ふうっと長い息を吐く。

さっき目覚めたとき、外から木宮朱理の声が聞こえてきて、一瞬、本気で悪い夢でも見ているのかと思った。思いきり自分をつねってみて、痛みを感じてようやく、これは現実だと認められた。

そして同時に、木宮朱理が本当に、この扉一枚隔てた向こうにいるのだとも。

木宮朱理が、幼いころに石塚勝矢を助けたことがある――そう口にするのを聞いて、乙村彩羽はようやく腑に落ちた。

どうりで。

昔、どれだけ石塚勝矢を追いかけても、彼はろくに目も向けてくれなかったはずだ。

あの二人のあいだには、そんな因縁があ...

ログインして続きを読む