第21章

乙村彩羽は駅で一夜を明かした。

翌朝、まだ空が白み始めたばかりだというのに、切符売り場にはすでに長蛇の列ができていた。

乙村彩羽は、まだ行き先を決めきれていなかった。

少し見回し、とりあえず人の少ない窓口に並ぶことにする。

係員に尋ねてみて、そこで初めてわかった。

その窓口で扱っているのは長距離便の切符で、行き先はどれも地方の小さな町ばかりだった。

――もしかしたら、これが天の示した道なのかもしれない。

乙村彩羽はそう思った。

辺鄙な町ほど身を隠しやすいし、石塚勝矢だって、まさか自分がそんな場所へ向かうとは思うまい。

ただ一つ、気がかりがあるとすれば――地方では金を稼ぐのに...

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