第26章

「……ああ」

石塚勝矢は、あの件をこれ以上蒸し返すつもりはなかった。

彼が承知したのを見て、木宮朱理は内心ほっと息をつく。

病室には、しばし沈黙が落ちた。

石塚勝矢はときおり時刻を確かめ、さらに高橋遠矢へメッセージを送る。

「朱理に、あっさりした夕飯を買ってやってくれ」

すぐに了承の返事が返ってきた。

その横で、木宮朱理は彼の今にも立ち去りそうな気配を感じ取り、乙村彩羽のことを思い出す。

石塚勝矢が急いでいるのは……彼女のところへ行くため?

そう考えた途端、朱理は完全に目が冴えてしまった。

「勝矢。乙村さん、あなたに会いに来たのって……何か用事? 私も手伝える?」

何で...

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