第44章

「逃げろって言っただろ。どうしてあいつらに捕まってるのよ」

耳元で、小崎寧音のくどい声がした。

乙村彩羽は全身を裂くような痛みの中で目を開けた。目に飛び込んできたのは、ぎらつく照明。その上には、大きな鉄板の屋根が広がっている。

何度か強くまばたきをすると、気を失う前の記憶が一気によみがえった。

田村に資料を届けるよう言われ、別荘地の外まで来たところで、斉藤翼の手下に脅され、そのまま拉致された。抵抗する間もなく殴られ、意識を失ったのだ。

ここは……。

乙村彩羽はそっと横を見た。

小崎寧音がうつむいたまま、慎重な手つきで彼女に薬を塗っている。

視線に気づいたのか、小崎寧音が顔を上...

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